F・コッソット VS G・バンブリー

NHK教育で「オペラの黄金時代を生きた二人のメッツォ・ソプラノ」をやっていた。70歳を超えた円熟の歌声…と副題がついていた。
二人の素晴らしい世界を圧倒したメッツォ・ソプラノ!時を同じくして昨年11月来日したようだった。
それもそれぞれ同じホール(オペラシティ)で。
途中から見たので(というか偶然チャンネル変えたら…(汗))コッソットの最初のほうは見ていない。
コッソットは最後の演目「アイーダ」から。それから延々アンコール。熱狂的なブラーヴァ、スタンディングオヴェイション。デビュー50周年との記念コンサートらしかったが、いやはや昔の素晴らしい張りと輝かしさは残念ながらひとかけらもない。50周年というよりか、引退後何周年…というタイトルにしたほうがよかったんじゃない?というコンサートというかなつかしのあの人は今・・・的。とても現役とはいえない。
でもあれほどの熱狂的な喝采はそれこそ番組のタイトルどおりオペラ黄金時代、とりわけNHK招聘のイタリアオペラを愛した観客ばかりではなかったか?あの頃の栄光の!コッソット(私も「アイーダ」「カヴァレリア」「アドリアーナ」のイタオペでは当時プロ合唱団連合の一員としてコーラスで出演していてコッソットやドミンゴ、A・クラウスなど一緒に写真をとってもらった!当時も快進撃といっていいほどの勢いの素晴らしいメッツォだった。)を知っていてもあれだけの拍手を惜しげもなく送れる…私同様あの頃のオペラを愛してやまない人たちだったと思う。でもそれにしても・・・?と思うけれど・・・。

しかし、次のグレイス・バンブリーは立派な現役だ。ヘンデルから始まってモーツァルトブラームスのリート、チャイコフスキー、マスネのオペラ、そして特に素晴らしかった黒人霊歌。さすがに声は年齢的なビヴラートを感じさせるし、胸声になると少し音程が低くなってしまうし、多少だが声が割れる。それでもフレーズの取り方の丁寧さ、歌の品格もそれこそ70歳を感じさせない。年を重ねてもこのように歌を大事にしていけたらなと心から思う。感服しました!バンブリー女史。(しかし、拍手はコッソットと比較にならない位、一般的な拍手であったが・・・。あんまりよ〜)
それにしても30歳のときのバンブリーのカルメンの映像!素敵!そしてなんという色気であろうか、歌と声の。