「カルメン」

ジュリエッタ・シミオナート

NHK教育の芸術劇場がこの頃は金曜日になったらしい・・・。以前からだったのかしら?
昨夜は新国立劇場で去年の12月に公演した「カルメン」をやっていた。
まぁこれほど主役の3人カルメン、ドン・ホセ、エスカミーリョのキャラクターがミスマッチなのも珍しい。

まず、タイトルロールのカルメン役、スペイン人らしいが見た目にもあの男をたらしこむアクの強さと野性味とは程遠い、綺麗なオネエチャン(モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」のドラベッラ役の方がよっぽど合っていそう)声的にも肝心な中音域から低音域がよく響かない。
又、ドン・ホセ役は見た目にはこりゃ、エスカミーリョのアクの強さ、そしてエスカミーリョはこのバリトンがホセやったら?って線の細いお兄ちゃん、声も生真面目な、カルメン同様、低音域が十分鳴っていないから押出がない。
唯一ミカエラを歌った日本人歌手大村博美、なかなかの出来であった。ただ、声がやや太めなので以前見た「ドン・カルロ」のエリザベッタ役の方が彼女の声質には合っていると思う。私のミカエラ像はもう少しロス・アンヘレスのようなリリックな声が好きだ。それにしてもいいソプラノだ。
佐藤しのぶほどの華やかさはないが、実力は世界での活躍も頷ける。
ただ、メイクがもう少し何とかならない?綺麗なのにあんなに黒くしなくていいのに。
カルメンが白いから余計に目立つ。(大体カルメンってジプシーの野性的なイメージなのに、彼女こそ少し浅黒くメイクした方が・・)

しかし、2.3年前にもチョン・ミョンフン指揮の「カルメン」をTVで見たがそのカルメンも「バラの騎士」のオクダヴィアンのようなズボン役の方が似合うようなメッツォ・ソプラノだった。
古くはシミオナート、バンブリー、オブラスツォワ、バルツァ、いいカルメン歌いがいたのになぁ。