ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ

ベッラ様のブログで少しだけディースカウの名を挙げてらした。今日はそのディースカウさんのことを。
ドイツを、そして世界を代表する名バリトン。学生時代に大好きで、毎晩リートを聴いていたものだ。彼の名を知ったのはやはり母のおかげだ。ドイツ語というと硬い言語というイメージだけどこの人が歌うドイツ語はすごく柔らかく聴こえるのよと言ってたのがディースカウの名前を知ったきっかけだった。それからレコードで聴くリートのそれぞれが素晴らしくハンス・ホッターモノクロームな「冬の旅」に比べるとディースカウのそれは総天然色(この書き方が昔だよね〜)、とかお偉い評論家様が言っていたが、当時ディースカウファンの私は「フン、何が悪いのよ」って反発したものだ。
リサイタルに行った時も又プロ合唱団連合でN響の定演だったかな?に出演したディースカウのバックで…え〜と、どんな演目だったっけ?忘れてる〜トホホ…歌った時もサインしてもらって興奮していた若かりし頃の(ハハハ)私。
歌の洞察力、分析力、(確かに完璧すぎて感動をもたらさないという相反する批評も多いのも事実)多くのヴォイストレーナーも絶賛する完ぺきに近い発声、我らがステッラとはレコーディングの数は比較にならないくらい多い。
しかし年月を経てステッラ病は治らないけど、ディースカウ病は治っちゃった。
リートは何を歌わせても納得のいく高い評価だ。しかしオペラ歌手では私は絶対ないと思う。ディースカウ病にかかっていたときは若気の至りで無理やりにでも自分を納得させたが(>_<)アルマヴィーヴァ伯爵にしてもパパゲーノ(まぁ、この役はきっと舞台ではやらないんだろうな…お利口なパパゲーノ、だからと言って人間味あふれるヘルマン・プライが好きなわけではないけど。)等のドイツオペラも、ましてやイタリアものはある高名な評論家が彼のヴェルディ・アリア集を「ディースカウはイタリア・オペラの永遠のエトランジェである。」と宣ってたが(当時は悔しかったけど、)確かにそうだ。特にヴェルディの「血」を感じさせてくれるのがバリトンの命と思っている私、残念ながらディースカウにはその燃え上がる「血」を感じさせてくれない。

でも、何やかや言ってもやっぱり凄い名歌手ですね。学生時代本当にいいリートを聴かせてくれてありがとう!